ぼちぼちいこか
病気療養中だけどぼちぼち明るくいきたいネ♡

岩崎航詩集『点滴ポール ~生き抜くという旗印』


点滴ポール 生き抜くという旗印
 岩崎 航(著)、齋藤 陽道(写真)

 ___

 嗚呼 僕も
 生きているんだ
 青空の
 真っただ中に
 融け込んでいる
 ___

吉祥寺のジュンク堂書店で、
ただボンヤリと、ウロウロと、あちこちのコーナーを物色していて、
フと「詩」のコーナーで、不思議なタイトルに気をひかれて手に取り、
本の帯にうん!?と思い、
表紙を開くと、扉にあった五行詩が上記の詩です。

もう1枚、ページをめくると、青空と作者の写真。
(これもスゴい写真です。……しかも静かで気が遠くなりそうなほど、なんとも素敵☆……本を見てネ(^_-)-☆)

そして次のページの「生き抜くという旗印」で、ノックアウトされ、購入するしかなかった本が、ご紹介しているこの本です。(こうした出会いがあるから、リアル本屋さんはとても大切♡)

岩崎航(わたる)詩集 『点滴ポール ~生き抜くという旗印』(ナナロク社)

何度も何度も噛みしめながら読み進まざるをえないくらいの強力な言葉の力に、
たいして厚くもない本なのに、結構時間がかかって、やっと読了☆☆

イヤーーー、すンごい本に出会ってしまいました!!
(もしかしたら、私が知らなかっただけで有名?)

著者の岩崎航さんは、仙台市在住の37歳。
3歳で進行性の筋ジストロフィーを発症。
現在は常に人工呼吸器を使い、
胃ろう(口から食事がとれないため胃に管を通してお腹に開けた穴)から経管栄養で食事し、
生活のすべてに介助が必要な体で
ベッド上で人生を過ごす日々。
10代で自殺願望に覆われ、
身体の苦しみに苛まされた20代を越え、
30代に、2011年には仙台の実家で被災し、
そして今は、漆黒の闇を抜け、とても強い一筋の光を掴んだかのような、ユーモアさえ交える程の詩を生み出しています。

「生き抜くという旗印」の後半を引用すれば
 (まず最初に私がノックアウトされた部分)
 ___

 あれからさらに二十年の歳月が経ち、僕は今、三十七歳になった。
 病状は、一層進んだ。
 あまりにも多くのことを失った。
 思うことはたくさんある。
 僕は立って歩きたい。
 風を切って走りたい。
 箸で、自分で口からご飯を食べたい。
 呼吸器なしで、思いきり心地よく息を吸いたい。

 でも、それができていた子どもの頃に戻りたいとは思わない。多く失ったこともあるけれど、今のほうが断然いい。
 大人になった今、悩みは増えたし深くもなった。生きることが辛いときも多い。
 でも「今」を人間らしく生きている自分が好きだ。
 絶望のなかで見いだした希望、苦悶の先につかみ取った「今」が、自分にとって一番の時だ。そう心から思えていることは、幸福だと感じている。

 授かった大切な命を、最後まで生き抜く。
 そのなかで間断なく起こってくる悩みと闘いながら生き続けていく。
 生きることは本来、うれしいことだ、たのしいことだ、こころ温かくつながっていくことだと、そう信じている。
 闘い続けるのは、まさに「今」を人間らしく生きるためだ。

 生き抜くという旗印は、一人一人が持っている。
 僕は、僕のこの旗をなびかせていく。
 ___

ということ。
これは自らのすべてを受け入れ、さらにそこから飛翔した人生讃歌に他なりません。

言葉のひとつひとつが、彼自身とこの世界をつなぐつなぎ目にでもなっているかのように、
新鮮でかつ挑むような、それでいて愛に溢れた彼独自の言葉のセレクトは、
私にとって、久し振りに出会った「新たなる詩人」の出現とでも言えるような驚きとよろこびです☆
「こんな詩人が現代にあらわれるとは……」と、ある意味打ちのめされるような感動で、すぐには文章にも起こせませんでした。

私は、この頃、ダイアログという対話の場に参加する機会が何度かあり、言葉の力と、言葉のやりとりの場の力、というものにスゴイ力と創造性を感じています。
ダイアログというのは、単なる「対話」というよりも、ヒューマンバリューの定義をかりれば「参加者が自分の立場や見解に固執することなく、そのときどきのテーマを共に探求するプロセス」ということになるようです。自らの仮説や思い込みを保留して、出来事や意味をオープンに語り合い、さらに深い探求の結果、新しい行動や知識、意味が生み出されることを大切にした話し合いのあり方は、これから、様々な場で大きな力となっていくように感じます。

そんな時だからこそ、これほどの言葉を発信する岩崎 航さんの登場は、かなり大きな意味を持つように感じます。

とにかく、どの言葉にもノックアウト級の力がある言葉たちなので、
是非とも、読んでみてください☆

その中でも、今現在の私をノックアウトさせた五行詩を少しだけご紹介します。
 ___

 弾力を失った
 闇の中の魂に
 生きゆく力を
 蘇生させるには
 自ら光となるのみだ
 ___

 本当に
 心の底から
 願っていることに
 向き合えば
 いのち 輝く
 ___

 身に受けた「傷口」から
 栄養が取り入れられ
 いのちの限り生きていく
 それがなんで
 絶望でなどあるものか
 ___

 どんな
 微細な光をも
 捉える
 眼(まなこ)を養うための
 くらやみ
 ___

この本の最後にある『3.11 東日本大震災に寄せて』も、まさに圧巻です☆
彼自身が仙台の実家で被災し、家にいたご両親とヘルパーさんに必死にかばってもらい、その後呼吸器の電源を求めて病院、お姉さん夫婦の家へと転々としながら、この地震がもたらした想像を絶する惨禍を知り、「暗黒のかぎ爪」で心を摑まれ、震災後1ヶ月は詩を詠むことが出来なかったそうです。
その1ヶ月後に書かれた「打ちのめされて言葉を失っていることのありのままの姿」から始まり、「この震災に対する現在の僕の詩人としての応答」へとまとめられた詩です。そこには、希望と勇気と愛が込められています♡
(本で読んでくださいネ(^_-)-☆)

最後に、後書きにあった、素敵な言葉をご紹介して、終わりにします。
 ____

 幸せというものは何も日が照っていて、望みを叶えられて、順風のときだけに感じられるというものではありません。地の底でもがき苦しんでいたときに出会えた光に、震えるほどの幸せと、生きようととする力が内発してくるときがある。不思議なことだと思います。
 ____

本屋さんで見かけたら、是非手に取ってみてくださいネ。



関連記事

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://mina5east.blog.fc2.com/tb.php/64-dda3d155
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。